Vol.1
こだわり横丁 ふくしまや
常務取締役 菅野秀美
老舗果物卸の後継者が始めた専門店
長年にわたりお客様に支えられ
「ショップ・オブ・ザ・マンス」を受賞
「ネットショップでもやってみるか」と軽い気持ちで始めたオンラインストア
福島県産の上質な果物やその加工品を販売するオンラインストアとして、高評価を獲得している「こだわり横丁 ふくしまや」。その店舗運営責任者である菅野秀美さんは、2000(平成12)年に大学を卒業して、家族で営む(有)菅野房吉商店に入社しました。
「会社は、入社当時、創業約50年の歴史ある老舗。主に観光地や高速道路のサービスエリア、JR駅構内の土産物店などに果物を中心にさまざまな商品を卸していました。実店舗も有していて、堅実にビジネスをしていましたが、入社して最初の3年間は、会社に対して貢献する方法を見いだせませんでした。」と語る菅野さん。景気が後退し、個人消費も落ち込むなかで、「いずれ会社として立ち行かなくなる」という危機感と同時に、後継ぎとして自分のカラーが出せていない、何か新しいことをやらないといけないという焦燥感を抱いていました。
折しもPCやインターネットが普及し始めた頃だったので、具体的に取り組めることとしてオンラインストアに着目し、大手通販サイトに出店したのが2005(平成17)年のことでした。それでも当初は、「ネットショップでもやってみるか」とどちらかといえば軽い気持ちで始めたといいます。
コンセプトは「福島」と「接客」!コンセプトを崩さず成長期へ突入
「ネットショップを始める際に、全国に向けて福島のものを売ろう、魅力を広めようというコンセプトをスタート時に決めました。」という菅野さん。それでも、最初の5年間は、満足な売上げが立たない時期が続きました。その間も腐らずにやってこられたのは、「自ら決めたコンセプトにこだわって、これだけはブレずにやろうとひたすら思い続けていたからだと思います。」と菅野さんは振り返ります。
その頃、菅野さんがもうひとつ大事にしていたのが「接客」です。「もともと対面販売をやっていたので、その経験もネットの中で活かしたいと考えました。ネット通販はお客様と接することはありませんが、できるだけ購入の際にお送りする“サンクスメール”は丁寧な対応を心がけ、2回、3回と購入していただけるリピーターのお客様には、メールなどでもより丁寧な接客を心がけています。メールに対するお客様からの反応が返ってくることが嬉しかったですね。」 時には、サイト自体に厳しい意見をもらうこともありましたが、「直せる部分は直していこう」と積極的に改善していきました。「うちは、お客様に育ててもらっているオンラインストアともいえますね。」
そして、このような思い、取り組みは、徐々に売上げ増という形で実を結び、やがて成長期へと突入して行きました。
震災の風評を乗り越え「ショップ・オブ・ザ・マンス」を受賞
資格も知識も何もない文字通りゼロからスタートした菅野さんのオンラインショップが、なぜ急成長できたのか? その理由を聞いてみると、「急成長といえば聞こえはよいのですが、実際は、蒔いた種が芽を出し徐々に成長してきたというのが実感です。」と謙遜します。 2010(平成22)年に絶頂期を迎えた矢先に東日本大震災に見舞われ、2011年以降、風評の影響でオンラインショップの売上げは激減してしまいました。「どん底に落とされた感覚でした。」という菅野さん。それでも立ち直ってこれたのは、接客を大事にするという信念があったからです。
「とにかく安全・安心に関することは必死に勉強し、県が発表するデータは暗記までして、何を聞かれてもノータイムで答えられるようにしました。主張を押し付けるより、お客様に正直に情報をお伝えして、自ら判断していただくことが重要だと考えたからです。」 それでも、オンラインストアの主力商品である果物に対する風評の影響は大きく、震災前の売上げが戻るのに5、6年かかったといいます。
「嬉しかったのは、『応援したい』というお客さんが増えていったことですね。本当に感謝しています。」という菅野さん。今は、震災前を上回り、会社全体の売上げの約4割をオンラインストアが占めるまでに成長してきました。 そして、2020(令和2)年7月は前年対比売上350%、アクセス数400%まで伸び、ついに大手通販サイト内の食品部門でひと月のベストショップ3店舗だけに与えられる「ショップ・オブ・ザ・マンス」を受賞しました。「受賞したことも嬉しかったけど、それだけ福島のものを買ってくれる人、愛してくれる人が増えていった結果、受賞できたんだなと、そっちの方がもっと嬉しかったですね。」
ここがすごい!!
お客様と作り上げてきたオンラインストア。
商品を購入いただいた際に送るサンクスメールやリピーターのお客様への配慮など、「接客」を大切に丁寧な対応を心がけ、「お客様に育てられているストアです。」とおっしゃるぐらいお客様の声に真摯に向き合う事で多くの支持を獲得しています。
ユーザーから愛される老舗ストアとして、ますますの活躍が期待できるストア様です。
イチオシの商品は“献上桃の郷®の桃”
「こだわり横丁 ふくしまや」の看板商品は、生産量全国2位を誇る福島の桃です。福島県の桑折町は、毎年、皇室に献上している“献上桃の郷®”として知られています。菅野さんは、その桑折町産の桃を販売しています。「上質なものだけをお届けしたい。」という菅野さんの思いは変わりません。
福島で桃の収穫は7~8月に最盛期をむかえますが、その魅力を1年中楽しんでいただきたいと桃の果肉がたっぷりと入った「ふくしま桃ゼリー」も販売し、人気商品になっています。
「福島は、“フルーツ王国”と称されるほど、多種多様な果物が生産されています。6月のさくらんぼに始まり、桃、梨、ぶどう、りんご、あんぽ柿、いちごと続き、ほぼ1年中果物が楽しめますので、いつでもうちのお店にお越しください!」
お客様へのメッセージ
こだわり横丁 ふくしまやは、私にとって、単にものを売るツールであるだけでなく、『福島は元気ですよ、頑張ってますよ、こんなに魅力的なものがいっぱいありますよ!』ということをお伝えするメッセンジャーでもあります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、福島にお越しください、とはなかなか言えない難しい日々が続いていますが、オンラインストアを通じて、これからも全国の皆様に、美味しいふくしまを届けていけたらと思っています。その思いを感じとっていただければありがたいです。