Vol.3
マルマン醸造 ヤフー店
(中央)事務取締役 常盤慎太郎
(右)代表取締役 常盤健一
(左)女将常盤照代
こだわりの原料から製造工程まで
ひたむきに昔ながらの良さを残す
田舎味噌の販売でリピーターを獲得
営業が苦手ではじめた宅配、通販の経験を活かしてオンラインストアを開設
マルマン醸造(株)は、福島の古殿町で約40年にわたり味噌の製造・販売を行ってきた、地域に根差した老舗です。そのマルマン醸造がオンラインストアを開設したのは、2017(平成29)年のことでした。「もともと“味噌の宅配”を通販で行っていたので、オンラインストアを立ち上げるに際して、心理的なハードルはありませんでした。」と語るのは、店舗運営責任者の常盤慎太郎さん。同社三代目の後継者です。
かつて、福島では自家消費用の味噌を自分で作る農家が多数あり、嫁入りしたらその家に伝わる味噌を一から仕込むという風習がありました。マルマン醸造では、その労力を軽減するため、原料を合わせた発酵前の味噌を30kg、60kgと農家向けに販売していたのです。
同時期に新聞のチラシ広告を活用した一般向けの味噌の通販も、主要な業務として行っていました。
こうした宅配や通販は、商品に変化はあれど今も続いていますが、車で届けられる半径50kmくらいが商圏ですので、「もっと広い地域の人に食べてもらいたいという気持ちもあった。」と、常盤さんはオンラインストア開設時のことを振り返ります。
「もともと父も私も、スーパーや小売店で自社商品を扱ってもらうための営業が苦手だったので通販に頼ってきた」とのこと。“通販慣れ”していた常盤さんは、遅かれ早かれネットショッピングが自社においても商売の主役になると思っていましたが、初期投資にかかる費用が大きく二の足を踏んでいました。「そんな時、県のオンラインストア促進事業があり、飛びつきました。やはりオンラインストアを始めて正解でしたね。」
SEO対策、商品ページの改良、そして商品開発が決め手
大手通販サイトでオンラインストアを立ち上げたあと、しばらくは売れない日々が続きました。スタート時は、とりあえず業者さんにページを作ってもらいましたが、ある時、オンラインストアの関係者向けセミナーに行って知り合った方からアドバイスを受けて、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)対策を行ったところ、たちまち1、2週間後に検索画面のトップに来ました。「その時は、ドキドキしましたが、そこから商品が順調に売れ始めたので、商品ページにも自分なりにいろいろと改良を加えました」と言います。具体的には、興味を引く順番に商品やコンテンツを並び替え、読み進んでいくうちにさっとクロージングする(購入できる)構成にしたのです。
また、オンラインストア向けに商品開発も行いました。オンラインストアを利用する人は、小さなサイズを購入することが多いことに着目し、1kgの商品をベースに800gの商品を作りました。また、全国一律に割安料金で送ることができるメール便に入る300gサイズのパック商品も開発し、値段も検索されやすい500円で売り出しました。
このような工夫も功を奏し、大手通販サイトの味噌の週間ランキングで、1カ月の内に2、3週はトップになるまでになりました。
1g1円の量り売りは大失敗?! それでもランキングは爆上げ、リピーターも獲得
しばらくして、他のオンラインストアを研究していたところ、同じカテゴリー内で最安値であると検索される率が一気に高まることに気づいた常盤さんは、さらに工夫を凝らして1g1円の量り売りを期間限定で行いました。「これは、最初は大失敗かと思ったんです。少量注文のお客様が多く、売っても売っても赤字続きで、手間はかかるは社内から冷ややかな目でみられるはで肩身の狭い思いをしました。本当に1gだけ注文するお客様もいたんです。それでも、味見だけでもしてもらえたらしめたものと社内を説き伏せ続けました。そうこうしているうちに、売上げランキングが爆上げして、あとから思えばそれなりに宣伝効果はあったのかなと思いました。もう一度やれ、と言われても躊躇しますが(笑)。」と常盤さん。実際、そこからリピーターになったお客様もいたとのことです。
この件を含め、「自慢できる成功エピソードはほとんどありません。」という常盤さん。しかし、ずっと宅配や通販を手がけてきた経験から、お客様との一対一のお付き合いはオンラインストアでもことさら大事にしています。「結局、それが地元で商売をしてきたうちのやり方なんです。オンラインストアのコメントやお問合せには、必ず何らかのリアクションをするようにしています。」
現在、マルマン醸造には、北は北海道から南は沖縄まで、全国津々浦々にお客様がいます。「オンラインストアを始めてからまだ4年弱ですが、うちはリピーターが多いんですよ。本当にありがたいことです。そういう素晴らしいお客様に恵まれたことこそが、一番の“成功エピソード”ですね。これからも、地道にお客様が増えていったら、これほどの喜びはありません。」
ここがすごい!!
オンラインストアならではの商品開発で成功!
Yahoo!ショッピングのポイント増量広告やプレミアム会員向けの広告を多数活用。この2つが相乗効果となり、大きな顧客獲得につながりました。
担当としても自慢のストア様です。今後が楽しみでなりません。
国産原料、麹菌の力だけで長期熟成、職人の手作りによる「天然醸造みそ」
マルマン醸造の一番の主力商品は、その名も「天然醸造みそ」。ほかにも醤油やだしつゆも売っていますが、味噌はこの1種類だけで勝負しています。「宅配主流時代の名残で10kgポリ樽詰なんていう商品もありますが、売れ筋はやはり家庭で普通に使用するサイズのものですね。最近では、メール便で送ることができる薄いパック詰の商品も販売しています。」
マルマン醸造では、味噌の製造に3つのこだわりがあります。それは、福島県産を中心に厳選した国産原料だけを使うこと、麹菌の力だけで長期発酵させること、それらを職人の手作業で行うことです。
マルマン醸造が使用する国産大豆はたんぱく質が多く、それが味噌の旨味になります。また、大量生産の場合、通常、製造時間を速めるために酵母や乳酸菌を足したり加温したりするなどして、1〜6カ月で発酵させますが、マルマン醸造では麹菌だけで10カ月から1年をかけてじっくりと天然発酵させていきます。常盤さん曰く、「味噌が四季の気候の変化を感じて発酵・分解・熟成が進み、塩味の角が取れて甘みが増し、風味や味わいもより深いものになります。」とのことです。このような自然の摂理を知り尽くした職人が、自ら製造工程を管理し仕上げていきます。
お客様へのメッセージ
当店の味噌は、昔ながらの良さが残る、本当の意味での“田舎味噌”です。国産原料にこだわり、自然の温度で熟成させた天然醸造の手作り味噌は、レビューをご覧いただいても分かるように、全国のお客様からたくさんの高評価をいただいております。送料無料の小さいサイズもありますので、ぜひ、お試しください。うちは正直な味噌作りしかできませんが、そんな商品を通じてお客様とふれ合うことができるのが、何よりの楽しみであり生きがいです。