Vol.7
なみえ焼きそばの旭屋 楽天市場店
代表 鈴木昭孝
震災復興の旗頭として代表自ら奮闘
オンラインストアで新たな境地を目指す
50年以上の歴史を有するソウルフード
ご当地グルメの代表格、コロナによる赤字回復にオンラインストアが貢献
通常の3倍はあろうかという極太麺に濃厚なドロドロソース、具はモヤシと豚バラ肉だけという、シンプルだが一度見たら忘れられないほどの存在感を放つなみえ焼きそば。実は、50年以上の歴史を有しています。もともと福島県双葉郡浪江町で、農林水産業に日々、汗水流す人たちのために考案されたもので、腹持ちがよくて食後の満足感がすこぶる高いのが特徴的なソウルフードでした。
そんななみえ焼きそばが、一躍スターダムにのしあがったのは2013(平成25)年のこと。ご当地グルメの国内イベントで大賞を射止め全国区となりました。「ちょうど東日本大震災からの復興の真っただ中だったので、これを機に、福島の食の魅力と安全性を積極的にPRしていこうということになりました」と語るのは、浪江町で戦後間もない1953(昭和28)年に設立され、今日に至るまで製麺業を営む合資会社旭屋、代表の鈴木昭孝さんです。
以来、数々の復興イベントに参加して自らヘラを振ったり、特別販売で全国行脚したりしてきました。それとともに、新幹線や高速道路のみやげ物屋をはじめ、道の駅、観光施設等々での販売も順調に伸び、全社的な売上げも徐々に震災前の水準まで回復してきました。
そんな旭屋を襲ったのが新型コロナウイルス感染症でした。商品販売が大打撃を受け、2~3割もの売上げが消失し一気に赤字転落の危機に瀕したのです。
そのような状況で売上げ回復に貢献したのがオンラインストアでした。「これは感動的な復活ストーリーです―― と言いたいところですが、うちの場合はちょっと事情が異なります」と鈴木さんは言葉を続けます。
場違いだった勉強会、味わった挫折感
旭屋は、地域団体商標「なみえ焼そば」の唯一の認定工場を有しています。「やはりこれからの時代はネット販売が重要だ」と誰からともなく言われ、旭屋がオンラインストアをオープンしたのが、2010(平成22)年のこと。ただし、そこからコロナ前までの10年間は、手つかずで放置され、売上げは毎年ゼロの状態が続きました。「それが、コロナでネットでしか物が売れなくなって、あわててオンラインストアに真剣に取り組むようになりました」と鈴木さん。
ちょうどその頃、旭屋が出店していたインターネットショッピングモールが主催する勉強会に呼ばれ、半年間参加しました。東北地方で有望なオンラインストア20店程を集めた少数精鋭の勉強会でしたが、「参加してみたら月の売上げが何百万だ、何千万だという猛者ばかりでビックリしました」と鈴木さん。「なみえ焼きそばというヒット商品を持っているから、大きな伸びしろがあるだろうということで呼ばれたのかもしれませんが、完全に場違いで、セミナーでも何を言っているのかさっぱりわからず、大きな挫折感を味わわされました」と振り返ります。
四苦八苦を経て獲得した6冠達成! やればできると実感
しかし、転んでもただでは起きないのが、鈴木さんの凄いところです。浪江魂とでも言いましょうか。復興にかける思いを重ねて心に火がついたように、勉強会への参加がキッカケとなって意識改革が起こります。「オンラインショッピングモールを大幅に改良してインパクトを高めるとともに、商品プロモーションやキャンペーンの活用方法など、大手モールに出店するメリットについても意欲的かつ急ピッチで学んでいきました。」
そんな代表自らの努力が大きく実を結んだのが、2021(令和3)年2月14日のことです。出店中のオンラインショッピングモールにおける、総合、食品、麺類、焼きそばのリアルタイムランキングと、麺類と焼きそばのデイリーランキングで第1位という6冠を達成したのです。
「コロナによる巣ごもり需要も後押ししたのでしょうが、嬉しかったですね」と鈴木さんは目を細めます。「オンラインストアは、頑張れば、頑張った分だけ売上げが伸びるのだという感触がつかめたのもこの頃でした」と振り返ります。
ここがすごい!!
「なみえ」ブランドとともに成長を遂げる銘店
鈴木社長自らオンラインストア運営を行っており「売上げを作るためなら何でもする!」と、とても熱意のある方です!
何でもやってみる精神の鈴木社長ですが「なみえ」ブランドや「福島」発という商品のアピールポイントは変えずに取り組んできました!
「なみえ」ブランドとともに復活を遂げる旭屋さんの今後がとても楽しみです!
根強いファンの支持に応えたいと開発した「満足セット」
オンラインストア旭屋のヒット商品は、もちろんなみえ焼きそばですが、鈴木さんは、「満足セットもイチオシです」と教えてくれました。これは、なみえ焼きそばの「元祖ソース味」と「元祖ソース味 粉末タイプ」、さらに「塩味」の3種類が各3食、セットになったものです。「元祖ソース味」に加え、よりスパイシーな「元祖ソース味 粉末タイプ」、さらに麺そのものの味わいがキリっと引き立つ「塩味」と、異なる魅力を食べ比べしつつ堪能することができます。
「なみえ焼きそばは、ありがたいことにこれまでずっと根強いファンに愛され、支えられてきた商品です。そんな皆様の気持ちに、麺屋として新たな魅力を作り出すことで応えたいという思いもありました」という鈴木さん。
そのほかにも、「なみえ焼きそば 激辛」や「極太まぜそば」、川俣シャモを使った「鳥中華」などのラインナップもそろえました。「こうした思い切った商品開発が次々とできたのも、オンラインストアに注力した大きな副産物です。無我夢中でしたね。いや、まだまだ発展途上、無我夢中です」と語る鈴木さん。こんな一言を聞くだけでも、旭屋から目が離せなくなります。
お客様へのメッセージ
「なみえ焼きそばとの出会いをキッカケとして、ぜひ、生まれ変わった浪江町を見に来てください。東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部では、漁港が復旧したり最新鋭の水素エネルギー研究フィールドができたりしています。町の中心部には道の駅なみえがオープンするなど、大きな活気を取り戻しつつあります。町名を背負ったなみえ焼きそばには、町そのものをPRする役割があると私は思っています。なみえ焼きそばを食べながら、ぜひ福島県の沿岸部にある小さな町に思いを馳せていただければ、この上なく幸せです。」