“米どころふくしま”の魅力があふれる!
「首都圏の米穀店が美味しいお米と出会うツアー」レポート
黄金色にずっしりと実った稲穂が頭を垂れて、首都圏の米穀店を迎える。
9月4日、福島県は首都圏の米穀店を集め、米産地を訪ねて生産者と交流する産地視察ツアーを実施しました。このツアーには、お米のプロである米穀店8社が参加。米どころとして知られる大玉村と、数多くのブランド米を育む喜多方市のほ場を視察しました。
大玉村で知る、豊かな自然と生産者の情熱
まず、一行が訪れたのは、安達太良山の麓に広がる大玉村。ブランド米「福、笑い」などを生産する「あだたらアグリサービス」代表の伊藤洋さんが迎えました。
黄金色に輝く田んぼを見た神奈川県横浜市の米穀店「里のあさじろう」の佐藤敬之さんは「手入れが行き届いていて育ちがいい。」と評価。伊藤さんは、「安達太良山の森が蓄えた豊富な水が、美味しいお米を育む源。」と語りました。豊かな自然と、環境に配慮した減農薬栽培で育てられた稲は、茎が太く、見るからに力強さを感じさせました。
「これからは環境負荷をかけない米作りが必要。」と話す伊藤さん。参加者は生産者の取り組みに聞き入っていた。
令和7年産の新米「五百川」と「つきあかり」を試食!
田んぼを視察した後は、場所を移して試食と商談会が行われました。ここでは、大玉村の生産者である鈴木網樹さん、「あだたらドリームアグリ」の斎藤恵美さん、「あだたらの里直売所」店長の矢吹吉信さんが参加し、3種類のお米の食べ比べを行いました。
試食したのは、刈り取りたての令和7年産早生品種「五百川」、「つきあかり」と令和6年産「コシヒカリ」です。参加者からは「新米のつきあかりは味がバランス良く、これは美味しい。いいお米ですね。」、「令和6年産でも十分に美味しい。新米の味も期待できる。」と、その品質の高さに驚きの声が上がりました。
試食後は、生産者と参加者が商談をスタート。生産者の米作りにかける熱い想いを聞きながら、真剣に意見を交わしました。
試食には令和7年産の新米「五百川」と「つきあかり」を含む3種類のお米を用意。
生産者の鈴木さん(写真奥から3人目)の話を聞きながら真剣に試食をし、満足そうな表情を見せる参加者。
喜多方市で知る、価値ある米作りの挑戦
一行は、次に会津地方北部の喜多方市へ向かいました。喜多方市は、高品質な米作りに力を入れている米どころです。
ここでは、付加価値の高いお米作りで知られる「辰野ファーム」を訪問。「特別栽培米」や「有機JAS認証米」など、安全・安心にこだわった栽培方法について、代表の辰野博幸さんが丁寧に説明しました。
特別栽培米とは、化学肥料と農薬の使用を通常の半分以下に抑えて栽培した米のこと。有機JAS認証米とは、化学肥料や農薬を一切使わずに、有機栽培で育てたお米です。どちらも大変な手間と時間がかかりますが、辰野さんはドローンなどの最新技術も取り入れた「スマート農業」で、持続可能な米作りを実現しています。
稲穂が絨毯のようになびいている辰野ファームの田んぼ。
辰野ファームが育む多彩なブランド米を試食
試食会では、辰野ファームが栽培した5種類の米がずらりと並びました。「コシヒカリ」や「福、笑い」「ひとめぼれ」に加え、「天のおおつぶ」「いのちの壱」といった珍しい種類も登場。「天のおおつぶ」は、「天のつぶ」の中から大粒のものだけを選び抜いた、辰野ファームオリジナルのブランド米。「いのちの壱」は2000年にコシヒカリの突然変異から生まれた大粒の米です。参加者はそれぞれのお米を食べ比べ、「米工房おおぬき」の大貫正雄さんは「特別栽培だからか、どの米も力強い旨味があって驚いた。多くの品種に取り組む姿勢が素晴らしい」と高く評価しました。商談会では、それぞれの店舗のニーズに合った米の輸送方法や仕入れロットについて具体的な議論を交わしました。
「これからの農業には環境への配慮と省力化は欠かせない。安心して息子に引き継げるような持続できる農業を実現したい。」と話す辰野さん。
ふくしまの米は、生産者の情熱が詰まった宝物
ツアーを終え、埼玉県富士見市の「お米の田米衛」の田坂佳宏さんは「米が育つ土地の風土や、生産者の想いを直接知ることは、米の価値をより深く理解するために不可欠です。生産者と会って話をすることで、お客さんに自信を持って福島のお米をすすめられる」と語りました。今回のツアーは参加者にとって、ふくしまのお米の魅力を再認識する機会となりました。