Vol.05

95年の歴史をつむぐ、
“発祥の地”福島のあんぽ柿 生産者:宍戸 里司さん

美しさとおいしさへのこだわりには一切妥協なし、
それが福島のあんぽ柿生産者の誇り

鮮やかなオレンジ色に美しい容姿、ほどよい歯ごたえにトロっとした得も言えぬ甘味。そのすべてが見事に調和した完成度の高いあんぽ柿は、まさに食べる芸術作品と言っても過言ではありません。
もともとあんぽ柿は干し柿の一種ですが、皮をむいて干す前に硫黄で燻蒸(くんじょう)することで、酸化から守られ黒く変色することなく、あのまばゆい色合いを宿すのです。柿の時点での糖度は、すでに17~18度とかなり高いのですが、干すことによって濃縮され30数度まで上がります。砂糖や甘味料、添加物は一切使わずこの甘さを出せるのは、あんぽ柿ならではのことです。
「今年は、あんぽ柿の生産が始まってから95周年を迎えます。ここまで作り続けることができたのも、先人たちが素晴らしい生産技法を確立してくれたおかげです。」と語るのは、福島盆地の北側に位置する伊達市梁川町五十沢(いさざわ)であんぽ柿を生産している宍戸里司(ししどさとし)さん。
あんぽ柿の歴史は克明に記録され、五十沢の地に伝わっています。それは、ここ五十沢が、まがうことなきあんぽ柿発祥の地だからです。干し柿作り自体は江戸時代から行われていましたが、五十沢の人たちが干しブドウを作る際に行われる硫黄燻蒸の技術を取り入れ、あんぽ柿生産の技術を確立させたのが大正時代の中頃でした。
「あんぽ柿は、約1カ月もの間、じっくり時間をかけて干していきます。急速に乾燥させると表面はカサカサになり、中もあのトロっとした食感を出すことはできません。」(宍戸さん)
干している間は、“戻し”といって、湿気を含ませたり、乾燥させたりしながら、徐々に柿から水分を抜いていきます。阿武隈川から立ち込める朝霧を吸い、周囲の山から吹くからっ風にさらして湿気を飛ばしながら仕上げていくのが福島のあんぽ柿です。
「あんぽ柿は、種柿の生産からかぞえると出来上がるまでに約1年の歳月を要します。柿を屋内の干場に吊るしてからは、天候を見つつ、多い日は1日に何度も窓を開け閉めしたりしながら温度と湿度を細かく調整していきます。出来上がるまで、一時も気が抜けることはありません。」と語る宍戸さん。それはまさに職人芸のなせる業(わざ)と言えましょう。
このあんぽ柿の伝統的な産地も、その存続を揺るがす大きな危機に二度、見舞われています。一度目が第二次世界大戦で、二度目が東日本大震災です。
「震災は、それほど大きな出来事でした。しかし、安全性を確保するための対策を、産地をあげて徹底的に行い、あんぽ柿を作るのと同じように、丁寧に慎重に時間をかけて復活を遂げてきました。今年は、震災前の生産量の9割まで戻すことを目標にしています。」と語る宍戸さん。「震災後、あんぽ柿の出荷ができなかった時期に、『まだ作れないのですか』、『早く作って欲しい』という声がたくさん産地に寄せられました。こんなに待っていてくれていた人がいるんだ、ということを改めて震災によって気づかされました。」
だからこそ、「この美しさとおいしさだけは、一歩も譲れません。」と語る言葉に妥協はありません。
昔から年末、年始の贈答品としても重宝されてきたあんぽ柿は、福島の冬の風物詩。まさにこれから出荷の最盛期を迎え、3月上旬頃まで楽しむことができます。

あんぽ柿を購入するにはこちら

この機会にぜひ、福島の「あんぽ柿」を味わってみてください。
購入は右記のAmazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング内の特設ページからお願いいたします。