プライドストーリー Vol.23
プライドストーリー Vol.23
そば作りにかける情熱、熱き思いを胸に  
星 信弘さん(そば生産者)

そば作りにかける情熱、熱き思いを胸に   星 信弘さん(そば生産者)

会津地方は、米やアスパラガスをはじめとした多彩な農産物、地鶏に黒毛和牛、さらに地酒など、数々の名産品とともに絢爛な食文化が花開き、人々を魅了してきました。そんな食の聖地とも呼ぶべき場所で、“会津といえばそば”というほど、今も昔も、そばはその存在感を示しています。 その会津地方には、五指に余るそばの名産地がありますが、なかでも南会津町は、良質なそばの産地としてゆるぎない評価を得ています。土地がやせて米が思うように作れない山間地では、代わりにそばが作られることがよくあり、南会津町もこれに該当します。 「このあたりでは、ひところ前まで各家庭に石臼と麺棒、そば切り包丁があり、『そばが打てないと嫁に行けない』とまで言われるほどでした」と語るのは、その南会津町でそばを生産している水無農産倶楽部 代表の星 信弘さんです。 「毎日のように家で打ったそばを食べ、お客様が来たときの振る舞いもそば、祭事などのハレの日の御馳走もそばでした」と語る星さん。そばは主食であり、おもてなしのひと品にもなるという独特な食文化を築いてきたと教えてくれました。
「うちでは、特に、父と兄が大のそば好きでした。私自身、兼業農家として野菜類は作っていましたが、兄に『そば打ちをしたいので材料のそば粉を作ってほしい』と懇願され、そば作りをはじめました。平成17(2005)年ころのことでした。」 凝り性の星さんは、ほどなくしてそば作りにのめり込み、そばの栽培だけでなく、そば粉の生産まで行うようになります。 現在、星さんが作っているそばは、「会津のかおり」という福島県が開発したオリジナル品種です。栽培面積が全国5位(令和3年産)という国内有数のそばの産地である福島県には、もともと十数種類もの在来種がありました。福島県では、そばのブランド化を図るため、在来種の中から個体選抜と系統選抜を繰り返し(人為的な交配はせずに)育成したのが「会津のかおり」です。「さすが、激戦を勝ち抜いただけあって、最高の品種です。栽培しやすくて収量が多く、粉にして打ちやすく、しかも、味、かおりがものすごく良いという、まさに三拍子も四拍子もそろっています」と星さんは饒舌に語ります。 おいしいそばを生産するために星さんは、牛糞、広葉樹の樹皮、牡蠣殻などを混ぜたたい肥で丹念に土づくりを行います。毎年、8月下旬~9月上旬ころになると、そばの花が畑一面に咲き乱れ収穫期を迎えます。星さんは、黒化したそばの実を収穫すると、乾燥機で最低でも2日間、じっくり時間をかけて乾燥させていきます。急速に乾燥させると風味が飛ぶからです。こうして乾燥させたそばの実(玄そば)は保冷庫で保管し、必要なときに少量ずつ取り出して製粉するため、毎回、挽きたてのそばが楽しめます。 そば粉作りの工程は、「みがき」(ブラシでそばの実の表面のごみを取る)、「石抜き」(文字通り石を取り除く)、「選別」(4種類の大きさにそろえる)を経て「脱皮」してから「石臼で挽く」というものです。星さんは、これらの作業を丁寧に時間をかけて行います。「ひとつひとつの作業を丁寧に行わないと、高温になって成分が劣化したり水分が蒸発し過ぎたりして良いそば粉はできません」と星さん。それは、とても神経を使う作業でもあるのです。 星さんにそば作りをすすめたお兄さんは、そば好きが高じて自分でもそば打ちをはじめ、星さんがそばの生産を開始した2、3年後にそれまでの仕事を中途退職し、なんと地元の会津田島駅の前でそば屋を開店させてしまいました。星さんが挽いたそば粉を使い、自ら打ったそばをお店で出すお兄さんに、「おまえのそば粉は、本当にうまいな」と言われたときのことを今でも覚えているという星さん。大のそば好きだった、今は亡きお父さんにも「食べさせたかったなぁ」としみじみと語ります。 そんな星さん自身もお兄さんからそば打ちを習い、お兄さんに続くこと2年後、なんと那須塩原にそば屋を開店させ、ご自身が打ったそばを提供しています。 「そば作りとそば屋を同時にやっているので、正直、『大変だなぁ』と思うことがよくあります」という星さん。それではなぜ、そこまでしてやり続けているのでしょうか? 「プライド、熱き想いとでもいいましょうか(笑)。胸の内は、ただひたすら、うまいそばを作りたい。お客さんの満足する顔が見たい、それだけです。そばは、何ものにも代えがたい『生き甲斐』を私に与えてくれます。」
もうひとり、「そばが生き甲斐」といってはばからない人がいます。うつくしま蕎麦王国協議会会長の菅野伸是(かんののぶゆき)さん、その人です。 「ああ、その人のことならよく覚えているよ。さっぱりした、いい人でね。おまわりさんなのにそば打ちにはまっちゃって、器用だったのであっという間に玄人もびっくりするくらい上手くなっちゃった」と語るのは、喜多方市山都町(やまとまち)の宮古地区にある昔ながらのそば屋の店主。「懐かしいね。会いたいね」としみじみと振り返ります。 今は、そばの魅力発信や普及促進、そばによる町おこしの仕掛け人として精力的に活動する菅野さん。自らも(一社)全麺協の五段位(最高段位)を有する、お墨付きのそば打ち名人です。 相馬郡新地町出身の菅野さんは、福島県警の警察官だった平成8(1996)年、40代後半になって会津地方の喜多方警察署山都駐在所での勤務を命じられました。福島県のなかでも東北のハワイと呼ばれるほど温暖な地域での勤務も長かった菅野さんにとって、多い場所で3mもの積雪がある会津地方は想像を絶する場所。どうしても行く気になれず、警察をやめようかと真剣に仲間に漏らすほどでしたが、「飯豊山が鎮座して大自然に囲まれた素晴らしい場所だから」、「そばもすごくうまいから」と逆に励まされ、「そこまでいうなら、やめるにしても1回は行ってみてからにしよう」と思い留まったのが、まさに人生を変える一大転機となります。
全国には、“そばの里”を謳う数々の名産地がありますが、山都町は少し特殊な位置づけの場所です。そばで町おこしに成功した先駆け的存在で、平成6(1994)年には、名だたる産地を押しのけて第1回全麺協日本そば博覧会が行われた場所としても名を残しています。そこで作られる“山都そば”の発祥の地とも称されるのが同町の宮古地区。山都町の中心部から、車一台すれ違うこともままならない山道を抜けた先にある、もはや秘境とも呼ぶべき場所に、そば屋が連なる一帯が忽然と出現します。しかも、それらはそば農家が自宅の居間を開放して営業する特異な古民家そば屋。つなぎを一切使わない十割そばは、「幻のそば」とまでいわれ、全国各地からそば好きが行脚してきます。 そんな山都町に赴任した菅野さん。山都町の人たちに進められてそば打ちを始め、どっぷりはまっていきました。菅野さんは、あるとき、警察の仕事にそばをつなげようと思い、事件・事故の芽は身近なことから摘み取りたいという願いを込めて、「私の傍(そば)から事故防止」という標語をチラシなどに掲げ、大きな話題になります。以来、町当局と連携して安全・安心な地域づくりを積極的に推進します。その名残として、菅野さんが赴任中に設置された「そば粉100%、シートベルト100%」という看板は、今でも山都町の県道沿いに残っています。 山都駐在所に勤務した後、菅野さんはいくつかの駐在所を経て、定年の1年前に県警を退職し、うつくしま蕎麦王国協議会の会員として本格的な活動を始めました。 そばの普及啓発活動に従事するなかで、県内各地のそば生産者とも連携する菅野さん。南会津町の星 信弘さんについて、「まさに、そば作りに人生をかけて取り組み、そばの持つ可能性を具現化している素晴らしい人物です」と嬉しそうに話します。その菅野さん自身も自宅の一角にそば打ち小屋を作り、保健所に届け出て営業許可を得て、自分で打ったそばを販売したり、予約を受けて振る舞ったりしています。 思えば20数年前、菅野さんが山都町に初めて足を踏み入れた3月末、飯豊山に続く道の両側には雪がうず高く積もっていました。晴れ渡った空から降り注ぐ強い陽ざしをあびて、その雪がシューシューと音をたてて水蒸気となり蒸発していく、そのあまりのまばゆさ、美しさに大きく心動かされた菅野さん。「後にも先にもそのような光景にお目にかかったことはなく、町全体が私を歓迎してくれたようにさえ感じました」といいます。「そばで地域活性化に貢献し人の役に立ちたい」という思いは、この感動的な山都町との出会いとともに、今も熱く菅野さんの胸に息づいています。
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